2018年12月。
史上最年少でMー1グランプリ優勝の
快挙を成し遂げた霜降り明星。
こんなことを言うと
「そんなわけない」といわれそうだが
M-1優勝の前からハマっていて、
色々なネタをよく見ていた。
ということで今回は、
分析してみる。
2018年の優勝ネタ2本と
前年の準決勝のネタを比べてみて
どこが進化しているのかを考察する。
※便宜上、霜降り明星のお二人については
敬称を省略させていただきます。
※ツッコミ黄色
「豪華客船」 2018決勝1本目
ネタ全容
0:00~ 【つかみ せいやボケ3段積み】
①ダンスパーティー
②景色
③バイキング
0:20~ 【粗品ツッコミ】
「ボラギノールのCMか!
なんで静止画ベースでしゃべんねん!」
0:30~ 【粗品フリ】
「船内アナウンスありますよね」
0:36~ 【せいやボケ】
「えぇ、船長です。…それでは出発~。」
0:48~ 【粗品ツッコミ】
「夜行バスのテンション!」
【せいや小ボケ】
「消灯。」
【粗品小ツッコミ】
「消灯しとるがな。」
0:55~ 【せいやボケ】
カップルの会話
「私たち、今日で付き合って49日目。」
1:04~ 【粗品ツッコミ】
「法事!」
1:09~ 【せいやボケ】
カップル呼び合い
「マリリン」「みそしる大臣」
1:18~ 【粗品ツッコミ】
「ラジオネームか!」
1:22~ 【せいやボケ】
厄介な客(おっさん)
「ファミリー層多いねんからよ、喫煙ルーム1個つぶして
喫煙ルームにした方ええんちゃうんかい!」
1:35~ 【粗品ツッコミ】
「すばらしい意見!」
1:40~ 【せいやボケ】
別のクレーマー同士の口喧嘩
「きょうのパスタはまずかった」
「いやいや、きょうのパスタはまずかった」
・・・2往復
1:50~ 【粗品ツッコミ】
「おんなじ意見やのに揉めとる!」
1:55~ 【せいやボケ】
「俺の102号室来い!」
「俺の104号室来い!」
1:58~ 【粗品ツッコミ】
「103地獄!」
2:03~ 【せいやボケ】
船内アナウンス
「シアタールームにて、タイタニックを上映します」
2:05~ 【粗品ツッコミ】
「縁起悪い!」
2:09~ 【せいやフリ→ボケ】
船長「よーそろー。海岸線を走行しま~す」
ガツガツ・・・
2:14~ 【粗品ツッコミ】
「リアス式海岸!」
2:20~ 【せいやボケ】
タイタニック名シーン
女手広げる、男太腿で支える
2:23~ 【粗品ツッコミ】
「サボテン!(組体操)」
2:30~ 【せいやボケ】
「オーロラ見えた!」
「赤と青と緑で、歯磨き粉の匂いする」
2:32~ 【粗品ツッコミ】
「オーロラ2ステインクリア!」
2:38~ 【せいやボケ】
バイキング
スタッフが料理運ぶ(激しい動き)
2:40~ 【粗品ツッコミ】
「こぼれる!そんな両手で運んだらこぼれるやろ」
2:42~ 【せいや連続ボケ】
左手だけ上げる
2:43~ 【粗品ツッコミ】
「露骨な左利き!」
2:47~ 【せいやフリ→ボケ】
ダンスパーティー
男女ペアで男の手の動きが激しい
2:52~ 【粗品ツッコミ】
「女の労力えぐい!」
2:56~ 【せいや連続ボケ】
手の表現が異質
2:57~ 【粗品ツッコミ】
「こいつは表現力が劇団四季!」
3:00~ 【せいや連続ボケ】
両手上で振る、足はバタバタ
3:01~ 【粗品ツッコミ】
「上はパラパラ下はタップダンス!」
「ダンス界のケンタウロス!」
3:06~ 【せいや連続ボケ】
足だけ止めて、両手はそのまま振り続ける
3:07~ 【粗品ツッコミ→フリ】
「本命はパラパラ!何してんねん、帰ってこい!」
3:08~ 【せいや連続ボケ】
満面の笑みで帰ってくる
3:09~ 【粗品ツッコミ】
「キッズダンサーの笑顔!何しとんねん!」
3:13~ 【せいやボケ】
船長「よーそろー。こっから明日~こっから今日。
【粗品小ツッコミ】
「何してんねん」
【せいやボケ続行】
「こっから明日~こっから今日。」
3:19~ 【粗品ツッコミ】
「日付変更線で遊ぶな!」
3:25~ 【せいやボケ】
女手広げる、男右手地面・左手女の手
3:30~ 【粗品ツッコミ】
「扇!(組体操)」
3:31~ 【せいやフリ→ボケ3段積み(オチ)】
「山が見える」
「やっほ~! →やっほ~!(やまびこ)」
「最高~! →最高~!(やまびこ)」
3:37~ 【粗品ツッコミ→〆】
「倍返しだ! もうええわ。」
考察
4分間の漫才の流れはこんな感じ。
0:00~ 【せいやボケ】
0:20~ 【粗品ツッコミ】
0:30~ 【粗品フリ】
0:36~ 【せいやボケ】
0:48~ 【粗品ツッコミ】
【せいや小ボケ】
【粗品小ツッコミ】
0:55~ 【せいやボケ】
1:04~ 【粗品ツッコミ】
1:09~ 【せいやボケ】
1:18~ 【粗品ツッコミ】
1:22~ 【せいやボケ】
1:35~ 【粗品ツッコミ】
1:40~ 【せいやボケ】
1:50~ 【粗品ツッコミ】
1:55~ 【せいやボケ】
1:58~ 【粗品ツッコミ】
2:03~ 【せいやボケ】
2:05~ 【粗品ツッコミ】
2:09~ 【せいやフリ→ボケ】
2:14~ 【粗品ツッコミ】
2:20~ 【せいやボケ】
2:23~ 【粗品ツッコミ】
2:30~ 【せいやボケ】
2:32~ 【粗品ツッコミ】
2:38~ 【せいやボケ】
2:40~ 【粗品ツッコミ】
2:42~ 【せいや連続ボケ】
2:43~ 【粗品ツッコミ】
2:47~ 【せいやフリ→ボケ】
2:52~ 【粗品ツッコミ】
2:56~ 【せいや連続ボケ】
2:57~ 【粗品ツッコミ】
3:00~ 【せいや連続ボケ】
3:01~ 【粗品ツッコミ】
3:06~ 【せいや連続ボケ】
3:07~ 【粗品ツッコミ→フリ】
3:08~ 【せいや連続ボケ】
3:09~ 【粗品ツッコミ】
3:13~ 【せいやボケ】
【粗品小ツッコミ】
【せいやボケ続行】
3:19~ 【粗品ツッコミ】
3:25~ 【せいやボケ】
3:30~ 【粗品ツッコミ】
3:31~ 【せいやフリ→ボケ3段積み(オチ)】
3:37~ 【粗品ツッコミ→〆】
つかみ(=最初のボケ)を決めた後は
1つのクダリが終わってから
5秒以内に次のボケが始まっていて
次から次へと畳みかけている。
M-1は
笑いの「質」より「量」が求められる
といわれていて、
4分間でいかに多く笑いを誘うかが
採点のポイントになってくる。
これは、採点のシステムとして
固定されているのではなく、
笑いの量が多い方が
会場に「面白い」という空気が流れるため
審査員も高い点数をつけやすくなる。
つまり、
「質」ももちろん大事だが、
「量」を重視したネタ作りが
必要になってくるのだ。
決勝ファーストラウンドを1位で突破。
最終決戦では、
優勝をつかみとった
「小学校」というネタを披露する。
「小学校」 2018決勝2本目
ネタ全容
0:09~ 【つかみ せいやボケ】
「いきなりですがぁ!」
0:12~ 【粗品ツッコミ】
0:19~ 【せいやフリ→ボケ】
「ちっちゃい頃って懐かしいなと思ってね。」
「赤ちゃんの時よう夜泣きしたらしいんですよ。」
「おぎゃ~、おぎゃ~…。」
「ねんねん、ころりよ、おころりよ~。→就寝」
0:38~ 【粗品ツッコミ】
「セルフ!自分で歌って自分で寝た。」
0:45~ 【せいやフリ→ボケ】
赤ちゃん言葉
「バスロマン、バスロマン!
バスロマン、バスロマン!」
0:53~ 【粗品ツッコミ】
「“バブ”やろ!入浴剤で間違えとんがな。」
1:05~ 【粗品フリ】
「それでいうと、小学校も懐かしい。」
1:12~ 【せいやフリ→ボケ】
「4時間目の授業終わって給食の時間が楽しい」
先生「国語の教科書開いてるか?最後に段落に丸つけていくぞ。
【粗品フリアシスト】
「懐かしい。よく段落に丸つけたけど」
【せいやボケ】
「はい1、2、終わり~。」
1:22~ 【粗品ツッコミ】
「ポエム!」
1:27~ 【せいやフリ→ボケ】
給食の時間。手洗う→焦燥した様子で急いで洗う。
1:41~ 【粗品ツッコミ 溜めて】
「…お前、人殺したんか!入念に洗いすぎやろ!」
1:47~ 【せいやボケ】
「手乾かす。ブオ~ン。」
1:48~ 【粗品即ツッコミ】
「私立!乾燥機が置かれてる。」
1:53~ 【せいやボケ】
手合わせる→隣同士で。
1:54~ 【粗品ツッコミ】
「一人で!」
1:57~ 【せいやボケ】
食パン食べる→食パンでかい。
1:58~ 【粗品ツッコミ】
「1斤!」
2:01~ 【せいや小ボケ】
2:02~ 【粗品ツッコミ】
「後半トースト!」
2:04~ 【せいやフリ→ボケ】
先生「おいそこ!ええかげんにせえよ。
学校でしゃべるな!」
2:07~ 【粗品ツッコミ】
「厳しすぎる!」
2:10~ 【せいやフリ→ボケ】
「転校生紹介するぞ」
【粗品小ツッコミ】
「いつ来とんねん!」
【せいやボケ続ける】
→「イリュージョン!」
2:18~ 【粗品ツッコミ】
「プリンセス転校生!」
2:25~ 【せいやフリ→ボケ】
プールで競争
第一コース 速いクロール
第二コース 両手ひらひら
2:35~ 【粗品ツッコミ】
「クリオネの泳ぎ方!」
2:39~ 【せいや連続ボケ】
きょろきょろ
2:40~ 【粗品ツッコミ】
「第三コースは目泳いどる!」
2:44~ 【せいやフリ】
第四コース 横からの影響がすごい
【粗品アシスト】
「第四コース泳ぎにくそうやな」
2:49~ 【せいやボケ】
第五コース。元気に手振りながら歩く
2:50~ 【粗品ツッコミ】
「第五コースでおばちゃんたちがエアロビクスしとる!」
2:54~ 【せいやフリ】
第六コース。溺れてる
【粗品アシスト】
「第六コース溺れとる、大丈夫か?」
【せいやボケ】
回転して水面に上がる
2:56~ 【粗品ツッコミ】
「シンクロ経験者!」
2:58~ 【せいや連続ボケ】
変な踊り
2:59~ 【粗品ツッコミ】
「そしてゼロ点の演技!何してんねん、帰ってこい!」
3:01~ 【せいや連続ボケ】
笑顔で帰ってくる
3:02~ 【粗品ツッコミ】
「負けてもプロ!何しとんねん。」
3:06~ 【せいやフリ→ボケ】
溺れる。「頭の中に走馬灯が駆け巡る!」
「豆でか!」
「関節鳴らへんなぁ。」
「この道に出てくんねんなぁ。」
3:17~ 【粗品ツッコミ】
「しょうもない人生!」
3:22~ 【せいやボケ】
先生「おいそこ!濡れるな!」
3:24~ 【粗品ツッコミ】
「厳しすぎる!」
3:27~ 【粗品フリ】
めったに入れない校長室
3:30~ 【せいやフリ→ボケ】
「おい、銅像あるぞ!」
口開けて飯食うポーズ
3:32~ 【粗品ツッコミ】
「あんま飯時描写せえへん。」
歴代の校長の写真
7人連続紹介、7人目歌舞伎のポーズ
3:42~ 【粗品ツッコミ】
「7代目ひょうきんもの!
こいつの時代に学びたかった。」
3:48~ 【粗品アテレコツッコミ→〆】
「う~ん、11、12、13、14冷房強すぎる!
もうええわ。」
考察
1本目よりは
前半ゆったりとしたつくりに
なっているものの
後半はやはり畳みかける。
ひとつひとつクオリティが高く
しかも量がすごい。
常に笑いっぱなしのまま
番組最後のネタを終える。
視聴者や審査員の頭の中には
霜降り明星が爆笑をかっさらった
印象が消えないまま
最終審査に入る。
そして、優勝。
何度も考え、突き詰めたという2ネタ。
前の年は準決勝敗退という結果だったが
何が変わったのだろうか。
「遊園地」 2017準決勝
ネタ全容
0:04~ 【せいやフリ】
「ちっちゃいころ遊園地が好きだった」
0:10~ 【せいやフリ→ボケ】
「まだ3歳の「たろう」の時は近場の遊園地」
「小学校に入って、「りょうすけ」になったときにちょっと遠い遊園地」
「大人になって、しっかり「せいや」になってから…」
0:24~ 【粗品ツッコミ】
「ハマチか!ハマチのシステム。」
0:39~ 【せいやフリ→ボケ】
ジェットコースター
上りで叫ぶ→下ると静か(粗品アテレコ)
0:48~ 【粗品ツッコミ】
「上りがピークの奴!」
0:56~ 【せいやフリ→ボケ】
「写真撮られてる!」
口開けて右手で何か入れてる
1:00~ 【粗品ツッコミ】
「かごに荷物入れる瞬間!
いつ撮っとんねん!」
1:07~ 【せいやボケ】
メリーゴーランド
回転しながら移動
1:11~ 【粗品ツッコミ】
「自転いらんねん!地球か!」
1:18~ 【せいやボケ】
女「(独り言の後)あたし一人で来てるんだった」
1:25~ 【粗品ツッコミ】
「どんな女やねん!」
1:29~ 【せいやフリ→ボケ】
ソフトクリーム
誰かの服につける
おじさん優しい→急に激怒(粗品アシスト)
1:42~ 【粗品ツッコミ】
「急展開!」
1:49~ 【せいやフリ→ボケ】
ジェットコースター
「おい、あそこに観覧車あるぞ!あとで乗ろうぜ~!」
1:55~ 【粗品ツッコミ】
「逆やろ!
観覧車乗ってるときにジェットコースター見つけて
後で乗るか相談すんねん。」
2:03~ 【せいやフリ→ボケ】
写真
1~3枚目笑顔、4枚目真顔
2:09~ 【粗品ツッコミ】
「あいつや!上りがピークの奴やん。」
2:13~ 【せいやボケ】
メリーゴーランド
激しい
2:16~ 【粗品ツッコミ】
「ガチの馬のスピード!」
2:23~ 【せいやフリ→ボケ】
列待ちカップル
女の話=宇宙の話
2:39~ 【粗品ツッコミ】
「女の話にしては聞いてられる!」
2:49~ 【せいやフリ→ボケ】
ソフトクリーム
ビヨーン。
2:53~ 【粗品ツッコミ】
「トルコアイス!
なんで伸びんねん」
2:58~ 【せいやフリ→ボケ】
パレード
手の形固定で見下ろしながらあいさつ
3:08~ 【粗品ツッコミ】
「スタンスが総理大臣!」
3:12~ 【せいやフリ→ボケ】
地上でキャストがダンス
単純な踊り
3:19~ 【粗品ツッコミ】
「振付け1!」
3:24~ 【せいや連続ボケ】
あたふたするキャスト
「振付け1やのに覚えてへん奴おる!」
3:29~ 【せいやフリ→ボケ】
パレードカー
「ピーピー…バン!」(粗品アシスト)
3:38~ 【粗品ツッコミ】
「半ドア!」
3:44~ 【せいやフリ→ボケ】
ダンサー
服脱いでポールダンス
3:48~ 【粗品ツッコミ】
「ストリッパーやないか!」
3:50~ 【せいや連続ボケ】
子供驚愕
3:52~ 【粗品ツッコミ】
「子供が引いとる!」
3:55~ 【せいやフリ→ボケ】
花火
両手でつまんで歩く
3:58~ 【粗品ツッコミ】
「線香花火!地味やな。」
4:02~ 【せいやフリ→ボケ】
ヒュー・・
「玉屋、玉屋ぁ~!」
バン!(真顔) (粗品アシスト)
4:06~ 【粗品ツッコミ→〆】
「上りがピークの奴!
もうええわ。」
考察
このネタは大好きなネタのひとつなのだが、
この年はあまり高く評価されなかった。
理由は確信できるものがないが、
あくまで時間経過だけをたどっていくと、
2018年の優勝ネタと比べて
ツッコミ終わりから
次のボケまでに時間がかかっているように思える。
その理由としては
せいやのボケひとつひとつが
フリから始まっていることが考えられる。
これは
ボケの質を高く保つため
説明を十分にしてからボケるという
手法が用いられているからだ。
2人のYouTubeを見ていても
玄人ウケしそうな
手の込んだ掛け合いが繰り広げられていて
お笑い好きの私にとっては
最高に面白く映る。
しかし、
M-1の会場で観ているのは
そこまでお笑いに詳しくない人たちがほとんど。
この層をいかに笑わせるかで
会場の空気は決まってくる。
となると、
彼らは優勝のために
あえて万人受けするクオリティを
目指したのかもしれない。
誰が見ても面白いボケを
細かいものまですべて集めて
凝縮させたことが
彼らを優勝へ導いたのだろう。
全く根拠もなく
2人と面識もない私が
勝手に想像しているだけではあるが、
そんな流れだったんだろうと感じる。
まとめ
玄人ウケを狙ってコントロールできる
テクニックがあるからこそ、
誰にでもわかりやすいネタを
つくることができる。
20代の2人が
それを実現できていることが
本当にすごいと思う。